統合失調症とは、人格がバラバラに分裂することではありません。体内にある生化学物質の異常によって起る病気をまとめて表現した言葉で、これが起ると、身体的・精神的・感情的な面に影響を及ぼします。
例えば、統合失調症になった場合には、聞くこと・見ること・味わうこと・考えること・感じることにおいて、以前とは違うことが起ります。
この統合失調症の傾向は、遺伝によって受け継がれるという研究もいくつかあります。全人口の1〜3%の人がこの病気の影響を受けているといわれており、特に、あらゆる階層の若い世代に見られるようです。
専門家の中には、患者の父親・母親・社会・環境などに責任を求める人もいますが、科学的な説明としては、体内で起る生化学反応の過程で何らかの異常が起こることが統合失調症の原因であると言えます。
ほかの病気と同じく、統合失調症には徴候が現れます。
ですから、もし統合失調症かもしれないと疑うような徴候が見られた場合には、専門医に診てもらうのがよいでしょう。
以下は、統合失調症を発病している方によく見られる徴候を挙げます。
・ 極度の疲労、脱力感
・ 集中力や頭を整理する能力の欠如
・ 物事への関心の喪失、ひきこもり
・ 生活状況とは無関係に現れるうつ症状
・ 理由のない恐れ、心配
・ 五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)の変化
・ 性格や行動の変化
・ 頭痛
・ 不眠
何をもって統合失調症とするかには、大きな見解の違いがあり、診断を下す方法にもいろいろあります。
統合失調症の患者やその家族が受ける説明でよく言われていることは、統合失調症になると感情の乱れが起る、ノイローゼになる、子どもっぽい性格になる、知能が遅れる、などです。
しかし、不幸なことに、どのような西洋医学的治療を行なっても、多くの方々が改善しません。
診断に最も重要なのは、医師による臨床観察です。とても役に立つのが心理学検査で、ホッファー・オズモンド式HOD検査と呼ばれるものです。検査が簡単で、迅速に行うことができ、診断に役立つような工夫がなされています。 |